「本大会は一般社団法人、全日本かるた協会の競技規定並びに競技会規定に乗っ取り行います。」
だいたい競技かるたの大会では審判長からこうした文言があると思います。競技規定や競技会規定というのは、かるたのルールのことです。全日本かるた協会が通知している公式ルールで、通常はこれに従って試合や大会の運営が行われます。
でも、競技規定・競技規定細則・競技会規定を細かく読んだことのある選手は意外と少ないのではと思います。
今回は多くの選手が知っているであろうルールは割愛し、意外と知られていないのでは?と思ったルールを紹介していこうと思います!
競技線は畳に接した部分だけを指すのではなく、その垂直上空も含む。(競技規定細則第七条補足一)
競技線は地上だけでなく空中にも当てはまるとのこと。
「読まれる前に有効手を競技線内に出してはいけない」というルールがあるため、選手は読まれる前に利き手の一部が競技線の垂直上空を超えてはいけないということになる。まあ実際これで文句を言われることはないと思いますが…。
(↑このような構えだと地上ではギリギリ競技線をはみ出していないが、
空中だとはみ出しているのでルール違反の構えという事になる)
あと、出札がない陣の札を競技線内で触るとお手つきになりますよね。
上空も適応されるとなると、稀ではありますが、相手が払ったり隣の札が飛んできた影響で
舞った札に偶然手が当たってしまった場合も空中セーフにはならない!
(↑ルール上は偶然舞った自分の組みの札に手が当たった場合もお手つきになるようだ)
暗記時間終了後に持札の過不足が判明した場合には、札の枚数の調整はせず、そのままの枚数で競技を続行する。(競技規定細則第八条補足二)
暗記時間が終了した時点でたとえ26枚であっても減らすことはできないし、24枚であっても増やすことはないということです。(24枚なら少しラッキーですが。)
札の移動については、競技者ははっきりと通告し、それを受けた対戦者もはっきりと返事をすることが必要である。(競技規定細則第十条補足一)
これについては分かっていることではありますが、意外にもしっかりと明文化されていました。札を移動した本人だけでなく、相手選手も了承した旨をしっかりと言うことが求められています。
また、頻繁な移動や一度に大量の移動を行うことについても好ましくないとはっきり記載されていたので注意しましょう。
ただし、最初の取りやお手つきの際に、有効手は逆の手であり、今の取りやお手つきが有効手とは逆の手だったと対戦者に伝えた場合は、そのように措置する。(競技規定細則第十三条補足二)
つまり「お手つきしてしまった!」という時に、まだ1枚目の札を取る前であれば
「いや、今のは有効手じゃない方の手です。」と伝えることでお手つきを回避することができるというルールです。かなりセコいですし、
これをするとそれ以降は反対側の手で取らないといけなくなるので、さすがにこのルールを持ち出すことがないと思いますが、一応ルール上はアリということです。
札が全く重って、且つ、出札が下になってしまった場合で、まだ出札が競技線内に残っているときは、上の札に触っても出札に直接触っていなけ れば取りは成立しない。(競技規定細則第十七条補足一)
稀ではありますが、隣の組の札が飛んでくるなどして、ちょうど出札が隠されてしまった状態を指しています。この場合は上の札ではなく、
隠されている出札の方をきっちり触らなければ取りにならないとのことです。
同一陣内で誤った場所に並べてしまった札が読まれた場合でも、読まれた時点の配置を有効とし、取りやお手などを判断する。(競技規定細則第二十条)
崩れた陣地を直す時などに、誤って違う配置になってしまうことがありますが、同じ陣地内の場合にはたとえ場所が変わっていても、元の場所ではなく新しく変えられた場所について取りが成立するというルールです。
不可抗力によって出札が競技線の外に出てしまった場合は、出札を持札としていた者が取ったものとする。(競技規定細則第二十二条)
隣の札などが飛んできて、
出札が飛ばされてしまった場合はその札を持っていた方の取り(自陣の取り)になるという原則になっています。
一方の競技者がお手つきをしてまだ札に触れている状態の手に、対戦者の手が触れた場合は、共お手つきとする。ただし、手の軌道からして明ら かに札に触れないと判断される場合は、この限りではない。(競技規定細則第二十四条三)
お手つきをしている状態の相手の手に触れると自分もお手つきをしたことになるというルールがあります。
ただ、明らかに札に触れない軌道の場合は共お手つきにはならないそうです。
このあたりの解釈は人によって幅がありそうですね。
(↑お手つきをしている状態の手に触れるとお手つきになる。)
錯誤により、一枚送るべきところを二枚送ってしまった場合は、最初に送った札を有効とする。 二枚を同時に送った場合に限り、どちらの札を送り札にしてもよい。(競技規定細則第二十六条三)
ダブや空ダブの時には相手に2枚の送り札を渡すということになりますが、実際はダブではなかったなどで、協議の結果送り札が1枚となることがあります。
そうした場合は
先に渡した方の1枚が送り札として認められるということです。
そのため、特に送りたい方(?)の札を先に送るべきと言えるでしょう。ただし、二枚同時に送れば選択の自由があるとも書いてあるので、
同時に送るのが一番お得かもしれません。
組合せにおいて、肉親や夫婦ということでは特段の配慮はしない。(競技会規定第四条補足二)
同一所属会の選手(同じかるた会の選手)は通常対戦が組まれることはありませんが、
肉親や夫婦などであっても所属会が異なれば配慮はされないと規定されています。
家族でかるたをしているというのはよくあることですが、その場合もたいてい同じかるた会に所属しているので問題にはならないでしょう。
むしろ高校の同級生、所属会の違う
カップルなどの方が起こりやすい問題だと思います。
別途規定されるまでは、従来の公認審判をA級公認審判とし、それ以外のA級登録選手をB級公認審判とする。(競技会規定第十四条補足一)
現在審判の資格としては「公認審判」というライセンスがあり、A級六段以上でかつ講習会を受講した人にのみ与えられる資格です。
段位の条件が高いため持っている選手はあまり多くなく、そのためA級選手を便宜上B級公認審判としています。(今後改定される可能性あり)
審判長は原則A級公認審判員でなければできません。また、A級の試合につく審判員も少なくともB級公認審判でなければなりません。ただ、それ以外の級については審判長の判断によっては公認審判でなくてもいいので、B級以下の選手であっても審判員としてつく可能性はあります。
その他のマイナーなルールについて
禁止されていることとして「競技者や観客による、競技者の応援」という行為が入っていました。観戦している時に
心の中で応援するのはOKですが、あからさまな応援はダメとのことです。
また、ショートパンツや胸の大きく開いた服装は好ましくないと記載があります。
改めてルールを見てみると色々知らなかったこともあるので、皆さんもぜひ見てみてはいかがでしょうか(^_^*)