競技かるたの正しいモメの仕方

今回はモメについてです。

競技かるたにおける「モメ」

競技かるたは言うまでもなく1対1で行う対人競技ですが、基本的に審判はつきません。そのため、試合中微妙なプレーがあった時は選手間の話し合いによって判断(ジャッジ)されます。

一部の試合(名人戦・クイーン戦などのタイトル戦や大会の決勝戦、終盤など)では各試合に1人の審判がつくこともありますが、その場合でもまずは選手同士の話し合いによって判断を行い、それでも判断が難しかった場合にのみ審判が決定を行います。

 

(↑名人戦での審判の様子、選手に求められた時のみ判断する)

こうした選手同士の話し合いのことを通称「モメ」と言います。(競技関係規定では「クレーム」と言う表現になっているが、そう呼ぶ選手に私はまだ会ったことがない…)

 

なぜモメるのは悪いことなのか

まず1つが「モメると試合が中断され、読手や他の選手たちに迷惑になるから」です。

自分が試合をしている時に、他のところでずっとモメをされると結構なストレスになり、気持ちよく取ることができなくなってしまいます。

また、読手は試合中ずっと立ちっぱなしなので、モメの最中もずっと立って待っています。

自分がモメると多くの人を待たせてしまうということを忘れてはいけません。

 

もう1つは「相手選手に失礼であるから」です。

これについては異論があるとは思いますが、私は試合中に長々とモメたり、何度もモメるというのは多くの場合「相手を尊重する」というかるた道精神に反することだと考えています。自分が勝ちたい、自分の取りにしたいという気持ちが強すぎて相手のことを考えることができないようでは、たとえ強くても一流のかるた選手とは言えないでしょう。

 

では絶対にモメてはいけないの?

ただ、実際の試合ではどうしても際どい取りもあると思いますし、相手がよく見えていない場合もあると思いますので、絶対にモメてはいけないとまでは思いません。

ある程度は仕方がない部分もあるかなと思います。

ただ、そうした場合でもなるべく譲り合うことを前提として、長々とモメるようなことはないようにしましょう。審判の人が仲裁に来るまでモメるようなことを1試合の中で何回もしてしまうのはNGです。

 

モメても仕方ないかなと思うライン

(1)明らかに先に取ったとき

自信満々、絶対に取ったと思うときは自信を持って主張しましょう。特に目視でしっかりと確認している場合は主張してもいいでしょう。ただ、自分の中で少しでも取ってない、遅かったかもしれないという可能性があるならモメてはいけません。

(2)触ってないのにお手つきだと勘違いされたとき

隣から札が飛んできたり、自分は触っていないのにお手つきだと勘違いされてしまったら、そこは否定していいです。また、自分の手は止まっていたのに相手の手に押されて触ってしまった共お手つきの場合も主張していいと思います。しかし、相手の手が当たって焦って触ってしまうというケースも結構あるのでそこはしっかりと区別してくださいね。

 

モメるべきではないと思うライン

(1)取ったかな?くらいのとき

ちょっと自分の手の方が速かった(気がする)くらいの根拠でモメるのはよくありません。気持ちはわかりますが、相手もそう思っている場合はモメが平行線になってしまい結論が出ません。自信満々の札だけを送るようにしましょう。

(2)大量リードしているとき

これについては色々な意見があるとは思いますが、私は大量リードしている時にモメるのはどうかなと思います。その1枚にそこまで固執しなくても次の札を取れば勝てるという展開なら、わざわざ後味の悪い試合にせず譲って気持ちよく勝った方がいいんじゃないかと考えています。

(3)1枚目の出札から

終盤の1枚1枚を争う展開でのモメはある程度止むを得ないでしょうが、序盤それも1枚目の札からモメるのは個人的には良くないと思います。まだまだ試合は長いのでその1枚なんてすぐ取り返せるという気持ちを持つべきではないでしょうか。

 

良くないモメの仕方

最後に良くないと思うモメの仕方をまとめておきます。当てはまる人は注意してみてくださいね。

(1)毎試合何度もモメをする

対戦相手が変わっても同じように何度もモメをする人は、よく見えていないか、取り方が汚い可能性が高いです。1試合だけモメが多かったなら相手に原因があるかもしれませんが、毎試合モメをする人は何かしら自分にも原因があるはずです。

(2)自分の主張しかしない

「モメ」という表現ではありますが、本当は「モメ」ではなく「話し合い」によって解決するものです。相手の主張を聞いた後すぐに(かぶせるように)自分の主張を言う人がいますが、これではいけません。相手の主張を聞いた後に、自分が間違っていなかったか考えた後、誤解を解くため再び説明するか引くかするべきでしょう。

(3)否定から入る

よく「いやいやいやいや、今のはないですって!」というように否定から入るモメ方をする人がいますが、これも良くないかなと思います。こういう言い方をされれば相手も気分を害するでしょうし、否定するにしても全面否定から入るのではなく相手の考えを受け入れる隙間を持っておいた方がいいと思います。

(4)不満を表に出して引く

以前「じゃあいいです!」と半ば怒りながら送り札を下げた人を見たことがありました。もちろん譲って引くことはとても立派なことですが、このような態度で引くのは非常に感じが悪いです。多少不満があっても態度には出さないで譲るのが正しい作法だと思います

 

 

 

以上モメについてでした。

悪いモメ方をするとせっかくの試合を台無しにしてしまうことになりますし、またかるたの世界は思ったより狭いので悪い評判が立ってしまうことになります。

正しい主張の仕方をして、気持ちよく試合をしましょう〜(^_^)