意外とよく知られていない競技かるたのこと
誤解されやすい競技かるたのあれこれ
漫画「ちはやふる」の大ヒットによって瞬く間に知られるようになった競技かるた。
でも、「競技かるた」と聞いてイメージすることが、必ずしも正しいというわけではないんです!
前回の記事の「競技かるたあるある」に近い話題ではあるのですが、今回はそんな誤解されてしまいがちな、意外とよく知られていない競技かるたのことを紹介しようと思います。
競技かるた選手なら一度は尋ねられたり、訂正したことがあるであろうことを色々書いていくので、もしかしたら共感していただけるかも!
その1 競技かるたはいつも袴で試合しているわけではありません!
この記事を書く上で一番書きたかったことはこれです。
蜂丸は何回も何回も聞かれましたし、訂正しました。
競技かるたは「必ず袴を着てするもの」ではありません!!
名人戦やクイーン戦、他にも袴着用が義務付けられる大会はあります。
しかし!ほとんどの大会はどの級であっても袴を着るかどうかは個人の自由です。
むしろ、袴を着て大会に参加する選手の方がめずらしく、ほとんどの選手がジャージで参加します。
俊敏な動きを求められる競技なので、服装が自由なら動きやすい服装の方が断然いいじゃないですか…
もちろん、練習でもジャージ着用です。
なので、競技かるたをしている人は一人一着必ず袴を持っているなんてことはありません!
百人一首を扱っていると言うだけで、普段の競技かるたの選手には和のイメージってあんまりないんですよー
その2 試合で100枚全ての札は使いません!
これはその1の次によくある誤解ですね。でも、百人一首を使うと聞いたら100枚全部の札を使うと思われるのも仕方ないですよね。
試合では100枚の半分に当たる50枚しか使いません。
でも、読手によって詠まれる札は100枚です。これが何を意味するかと言うと、詠まれるけど場にはない札が50枚存在するということです。
詠まれるけど場にはない札(専門用語では「空札」と言います。)は試合の勝敗を左右する力を持っています。場にはなくても、場にある札同様に大事な札たちなんです。
ここでは詳しく書きませんが、その理由が知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
その3 「詠まれた札以外の札を触る=お手つき」ではありません!
これも誤解されている方が多いのですが、源平戦と区別がついてないということだと思います。
源平戦では詠まれた札以外を触るのはお手つきです。なので、詠まれた札だけを慎重に狙って取りにいかなければなりません。
しかし、競技かるたでは詠まれた札以外を触ったからといって必ずしもお手つきにはなりません!
簡単に説明をしますと、自分のエリアの札が詠まれたら、自分のエリアのどの札を触ってもお手つきにはなりません。
写真を使って説明しますね。
青で囲ったエリア(字が自分に向いてない方)を相手陣、
赤で囲ったエリア(字が自分に向いている方)を自陣と呼ぶのですが、
もし自陣の③のエリアにある札が詠まれた場合、
③のエリアにある他の札や、④のエリアの札を触ってもお手つきにはなりません!
自陣の③のエリアにある札が詠まれて相手陣の①、または②の札を触る、
または詠まれた札が相手陣にも自陣にもないのに①から④のどこかの札を触る、
それが競技かるたにおけるお手つきとなります。
「あの選手、詠まれた札以外も豪快に飛ばして取ってるけど、お手つきになるんじゃないのかしら?」という心配はご無用ということですね(^ ^)
その4 競技かるた専用の札があります!
百人一首カルタといえば、市販されているものもたくさんありますが、競技かるたで使う札は一つの会社でしか製造されていません。
市販のカルタと大きく異なるのは、札が厚いことと、カーブを描くように曲がっていることです。
もしお子様が競技かるたを始めたのなら、「家にもとからある百人一首カルタで練習すればいいよね」なんて思わないでくださいね!見て触ってもらえればすぐに分かりますが、全然違います。
お子様の技術向上のためにも、競技かるたを始めたのならぜひ購入をご検討ください。
Amazonでも買えますし、一つ3000円もしないので誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントにぴったりですよ(^ ^)
詳しくはこちらの記事に書いてあります。
その5 すべての公認大会を「全国大会」と呼ぶことができます!
たまに競技かるた選手を紹介する記事で、「全国大会で優勝」なんて言葉が出てくることがあります。
でも、皆様の思うほどすごいことではないんです!
競技かるたの大会はほとんどの都道府県で一年に一回開催されます。(東京都では一年で大会が複数回開催されたり、公認の大会がない県もあったりして多少ばらつきはあります。)
競技かるた選手は自分の所属会や本籍などに関係なく、どの大会にも該当する級で出ることができます。
すなわち、公認大会すべての大会が全国から選手が集まってくる大会となり、「全国大会」と呼ぶことができるんです。
「県大会」「地方大会」というものは競技かるたにおいて存在しない概念なのです。
ただ、選手が集まりやすい大会(優勝することが難しい大会)とそうでない大会(どちらかというと優勝しやすい大会)というのはあります。
なので、競技かるたの選手は「全国大会で優勝」という言い方ではなく、「◯◯大会◯級優勝」という言い方で情報交流します。
そこで、「◯◯大会で優勝だなんてすごい!」という話になるんです。
その6 本当にすごいのはS級の選手たちだけです!
蜂丸がB級のとき、「どの級なの?」なんて聞かれて「五つ級があるうちの、上から二番目にあるB級です」と答えると、「上から二つ目!?すごい強いんだね!」と言っていただいたことがありますが、B級というのは全く強くありません!
もっと言えば、蜂丸は現在A級ですが、ただのA級もそんなにすごくありません!
競技かるたの強さを自慢できるのはS級の選手たちだけだと思います。
S級というのは正式には存在しない級ですが、A級選手の中でも特に秀でてる選手のことを「S級」と呼ぶことがあります。
名人、クイーンや準名人、準クイーン、そしてA級の大会で入賞常連の選手たちがそう呼ばれます。
「競技かるた」と聞いて思いだす選手がいれば、その人たちをS級だと思ってもらって問題ありません。
A級になるまでも大変な苦労がありますが、A級選手といっても数がとっても多いんです!現在の競技かるたの制度で降格制度がないので、ずっと前にA級になって今はそれほどの強さじゃなくても、肩書きはA級という人たちもたくさんいます。
「競技かるたで有名になりたい!」と思うなら、A級になっただけで満足するのではなく、大会で何回も優勝したり入賞したりしてS級選手を目指しましょう!
競技かるたのこと、もっと知ってください!
今回は意外と知られてなかったり、誤解されやすいことを訂正する形で書いていきましたが、
競技かるたはルールを知るともっと奥深い世界なんだということが分かってもらえると思います!
少しでも興味を持ってもらえたのなら、ぜひ他の気になる記事も読んで競技かるたのことをもっともーっと知ってもらえると嬉しいです(^ ^)