「感じ」の才能にもいろいろ種類がある

競技かるたに欠かせない才能、それが「感じ(かんじ)」です。

「感じ」とは音を取らえる才能で、感じの良い選手は他の選手よりも早くその札だと認識することができるため、かるたでは絶対的に有利とされています。

 

音の三要素

「感じ」は音をとらえる才能。そこで音についての基本的なことを見ていきましょう。

音には「音の三要素」と言って、音の性質を決める3つの基本的な要因があります。

  1. 音の大きさ
  2. 音の高さ
  3. 音色

です。

 

では、次にこの3つの要素がどのように「感じ」に関わるのか見ていきましょう。

 

(1)小さな音を感じる

当然音が大きくなれば聞こえやすくなるため、感じるかどうか問題になるのは小さい音です。

かるたの読みでは一番遠い選手まで読みが聞こえるように、ある程度の大きさで声を出すため、読みが聞こえないと言うことはありません。

しかし、声の出し始めなどの微かな音を聞こえるかどうかは「感じの良さ」によります。

 

例えば「ふくからに」は「ふ」の一字決まりですが、完全に「ふ」という音を発する前にわずかに息が漏れて聞こえることがあります。(F音といいます)

この音になる前のわずかな音を感じることができれば、相手よりも早く札を判別することができます。

特に読手から近い場所で試合をするときにはこの「小さな音を聞く感じ」の差が出やすいです。

 

(2)音の高さで聞き分ける

音の高さも結構ポイントになります。

読手はなるべく一定に読むように心がけて読んではいますが、どうしても次の音を読むために口の形を変えなければならないので、同じ音でも微妙に高さに違いが出てきます。

 

例えば「こいすちょう」と「このたびは」の二枚について

1音目は同じ「こ」ですが、若干違いがあります。

「こいすちょう」の「こ」は次の音が「い」という口角が上がり、自然と高くなりやすい音が2音目なので、自然と1音目の「こ」も高くなりやすいです。

一方「このたびは」の「こ」は次の音が同じお段の「の」なので、はっきりと発音するために力が入りやすく、その結果低くなりがちです。

 

このように音の高さの微妙な違いを感じれると、決まり字が読まれる前に札を判別できるケースがあり、有利となります。

しかし、実際は読手ごとに癖があったりするので、必ずこの札は高くてこの札は低いというような確実な法則はありません。

そのため、読手によって相性が良かったり悪かったりします。

 

(3)音色は関係するのか??

同じ大きさ、高さの音でも、ピアノの音とフルートの音は全然ちがいますよね。

これは音波の形が異なるためです。

では、かるたの聞き分けにも音色が関係するのか。

 

答えはYES、おそらく関係しています。

音の高さと似ていますが、次の音によって前の音の音色が多少は変化しているはずです。

 

また、和歌は単なる音ではなく意味を持った言葉なので(当然ですが)、淡々とロボットのように読むのではなく、意味をもたせて読みます。

例えば「ゆらのとを」と「ゆうされば」の1音目は一見同じ「ゆ」ですが、「由良の門を」と「夕されば」という全く異なるものを読んでいるため、響きが異なったりもします。

 

その他:余韻とM音

前の歌の下の句を読み、最後の音を3秒間「余韻」として伸ばし、1秒の空白ののちに次の歌が読まれます。

感じのいい選手はこの余韻と空白で次の歌を予想します。

特にM音と言って「むらさめの」や「めぐりあいて」などM音で始まる歌は、余韻が他の歌と違ってはっきりと消えるという違いがあるそうです。

 

まとめ

かるたの「感じ」には

  • 小さい音を感じる
  • 音の高さで聞き分ける
  • 音色の変化を感じる
  • 余韻の違いで判別する

などの種類がありました。

全てにおいて才能のある人もいれば、一部の能力が高い人もいるようです。