練習に便利!抜き札の仕方とメリットは?

以前、競技かるた専用読み上げアプリ「ありあけ2」の中で抜き札機能があるのが便利だという話をしました。

http://karuta-doujou.com/practice/ariake2/

この記事では「抜き札の仕方は?」「抜き札をするメリットは?」についてご紹介しようと思います。

抜き札とは?

一言でいえば、「抜き札」とは札合わせされている練習試合などに読手が読み札を意図的に抜く(読み札の数を減らす)ことで試合の進行をスムーズに行うものです。

つまり、「抜き札」は「札合わせされた札」と「読手」が必須です。箱札(札合わせをしていない札)で試合をするときや、ありあけに詠んでもらうときにはできません。

抜き札をするとしないのとでは、試合にかかる時間が十分以上も差が出ます。「練習試合するけど人数が奇数だから、余った人は読手してください」なんてときにはぜひ抜き札を活用してくださいね( ´ ▽ ` )

抜き札の仕方は?

抜き札の仕方ですが、方法は二つあると考えています。

「⑴時短でできる抜き札」と「⑵聞き分けの練習をしっかりする抜き札」がありますので、それぞれ場合によって選ぶのがいいかと思います。

必ず行う下準備!

どちらの方法にしろ、共通する下準備というものがあります。

それは、札合わせした札を一束読手がもらい、その札を決まり字で分類することです。

決まり字で分類するときは、あいうえお順かむすめふさほせ順どちらでも構いません。

抜き札は暗記時間15分以内でささっとできることが重要です。決まり字で分類するのはなかなか手間がかかりますのでスピーディーに行いましょう!

分類するときにかなりのスペースを使うことになると思うので、選手には見えない、畳半畳ほどのスペースを確保して行いましょう。

また、選手は暗記に集中しているのであまり大きな音を出さないようにすると親切ですよ(^ ^)

決まり字に50枚全て分類できたら、今度は読み札を箱から出し、全体をまんべんなく混ぜておきましょう。

さあ、これでやっと抜き札の準備が整いました!

⑴時短でできる抜き札

「決まり字の分類にかなり時間がかかっちゃった!」「試合を早く終わらせたいから札をガシガシ抜きたい!」というときにオススメなのが「⑴時短でできる抜き札」です。

決まり字で分類した札を見てください。そうすると、「あの文字から始まる札が一枚もないな」なんてことはありませんか?

例えば、「い」から始まる札が一枚もないとします。

それなら、「い」は詠まなくていいよね!と考えて、読み札から「い」で始まる札を全て抜いてしまうのです。そうすると、抜き札を3枚したということになります。

つまり、⑴は「場にその文字から始まる札がなければ読まない!」というスタイルです。

これだけでも十分の枚数の札を抜くことができると思います。

一字決まりや二字決まりの札は大抵なくなるはずです。

抜いた札は、一束にして読手のそばに置いておきます。(理由はあとで説明します)

 

それでもまだ抜き札をする必要があれば、次は読み札を束にして置き、一枚めくります。

めくった読み札が場にある札なら、決まり字で分類して並べてある札からその札を裏返しにします。そしてその読み札を表のまま置きます。

めくった読み札が場にない札なら、その読み札を表に置きます。

ただし、読み札の確認を重ねていくうちに場にその文字から始まる札がなくなることがあります。

例えば、「しら」が場にあって読み札も確認して裏返しに重ねた後、「しの」の読み札が出たという場合です。

「しら」がなくなったのなら、「しの」を詠む必要はもうありません。

よって、「しの」の読み札はあらかじめ抜いておいた札と一緒に重ねてください。

 

確認した読み札は表(下の句が書かれている方)にして重ねていくのを忘れずに!

⑴の場合はまだいいのですが、⑵で裏返しにしていくと大変なことになります。

 

これは一文字目の文字から始まる札がない場合ですが、二文字目の文字から始まる札がない場合でも使えます。

例えば、「なにはえ」「なにはが」の札と「なつ」の札はあるけど、「なげ」で始まる札が二枚ともないとします。

それなら、「なげ」で始まる読み札二枚を抜いてしまうということです。

このとき、「な」から始まる残りの一枚「なにし」の読み札は抜かない方がいいです。

「なにし」を詠むことで焦った選手が「なにはえ」か「なにはが」でお手つきをする可能性があるからです。

抜き札をするときは、それを詠むことでお手つきをする可能性のある札を残すようにします。

意地悪をしているのではなく、試合を早く終わらせようとする中にも、お手つきなどによる試合の駆け引きを失わないようにするためです。

時には、抜き札をしていることを知っていて、「どうせあの札は詠まれないだろう」とたかをくくっている選手に知らしめる目的もありますけどね(笑)

 

この「⑴時短でできる抜き札」はかなりの札を抜くことができますが、あまりに抜きすぎて、試合の時にほとんど毎回札が詠まれるため選手が勘付いたり、疲弊するというデメリットもあります。

 

⑵聞き分けの練習をしっかりする抜き札

「抜き札をする時間がしっかり取れた!」「似ている音を聞き分ける練習をしてほしい」という時には「⑵聞き分けの練習をしっかりする抜き札」をオススメします。

こちらは、読み札が詠まれる順番にしたがって抜き札をしていきます。

 

先ほどの、「なにはえ」「なにはが」の札と「なつ」の札はあるけど、「なげ」で始まる札が二枚ともない場合で説明します。

 

混ぜた読み札の束を一枚めくり、それが「なげき」だったとします。

⑴の方法であれば、「なげ」から始まる札は場にないから抜いてしまえ!ということになるのですが、⑵では「な」で始まる札がまだ残っている限り抜くことはありません。

そこで、「なげき」の札は抜かずに、表のままにして置きます。

その後もめくった読み札が場にある札なら、決まり字で分類して並べてある札からその札を裏返しにします。そしてその読み札を表のままにして置きます。

めくった読み札が場にない札なら、その読み札を表のままにして置きます。

しかし、⑴と対処の仕方が変わる場合があります。

それは、読み札の確認を重ねていくうちに場にその文字から始まる札がなくなる場合です。

⑴であれば、「その文字から始まる札がないなら抜く」のですから、

「しら」が場にあって、「しら」の読み札を確認した後に出てきた「しの」の読み札は抜くんでしたよね。

⑵では、安易に抜くのではなく、場に残っている札の音の近さで判断します。

「しの」はそもそも場にないし、「しら」は詠まれた後だったとしても、同じさ行で始まる「さ」「す」「せ」が場に残っているのならば、「しの」の読み札は抜かずに残しておきます。

さ行の「s」の後に来る母音の聞き分けを練習するためです。

子音が同じ札が残っている場合は、場にない読み札も残しておくのがべターでしょう。

他にも、「あら」から始まる札はもう場にないけど、「ありあ」が場に残っているから「あらし」の読み札は抜かないでおこう、という風にできます。(「r」の後の母音をきく練習になります)

完璧に子音が同じ札がなくなった場合にやっと抜き札ができます。

⑵は「似ている音の読み札はなるべく残しておこう」というスタイルなのです。

「なげき」が場になくても、「なつ」や「なにはが」など、他の「な」から始まる札があれば、「な」の次の文字を聞き分ける練習のために読み札を抜かないでいるのです。

 

ここまで読んでもらったら分かるように、⑵の場合は抜き札がほとんどできなくなります。

また、確認した読み札を表のままにして重ねるのを忘れると、順番が逆になってしまい、「場にはないけど子音が同じだから残しておこう」という努力も水の泡になってしまいます。

読み札の確認が全て終わり、さあ運ぼう、というときに誤って読み札を落としてしまい順番がぐちゃぐちゃ…なんてこともしないようにしましょう。

⑵は詠まれる順番を確実に守ること!読手のその繊細な心配りで、選手たちは聞き分けの練習をすることができるのです。

 

抜き札を詠むときの注意点

抜き札も終わってさあ試合で詠みましょう…となった時に忘れてはならないのが、抜いた札も読手のそばに置いておくことです。

抜き札をするのは人間なので、たまにミスをすることがあります。

場にある札の読み札を誤って抜いてしまっている、ということが時々あるのです。(本当に結構あるんですよ!)

最悪の場合、選手たちは運命戦になっているのに、読手の手元に残っているのは読み札が一枚…

それがどちらかの札であればいいのですが、空札の読み札だった、なんてこともあります。

こういう時は大抵抜き札の束の中にあるので、読手は異変に気づいたらすぐに抜き札の束から詠むべき札を探しましょう。

抜き札のミスがあると、選手が取ろうと思っていた札が一向に出ないということになります。

それが運命戦だった場合、抜き札のミスで自陣が出なかった選手に大変失礼です。流れが悪かったのではなく、人為的なミスだったと選手が後で聞いたら、憤りや悲しみの気持ちが湧いて来ると思います。読手だって、そんな申し訳ないことはしたくないですよね。

場の札が10枚を切ったあたりで、読手は一度残りの読み札の枚数や詠まれる札を確認すると、こういった事態を防ぐことができます。

 

抜き札をするメリットは?

ここまでの抜き札の仕方を見ていれば分かると思いますが、抜き札をすることで、空札を削ぎ落としすぎず試合時間を短縮できるというメリットがあります。

試合時間を短縮できるならしたいけど、読みの時間を削ったり、暗記時間を削ったり札の枚数を減らしたりというのもできることにはできるのですが、

大会にむけた練習をしているのならば大会と変わらない方法で練習したいですよね。

抜き札なら大会と変わらない暗記時間・読みのスピード・札の枚数で、かつ試合時間を短縮することができるのです。

空札なしというのはかなり疲れますよね。抜き札なら程よく空札を残すことができるんです。

 

抜き札は便利!

文章だけの説明で申し訳なかったのですが、抜き札は仕方がわかれば自分でもアレンジが可能で、覚えていて損することは決してありません!

もし分かりにくい点などございましたらコメントで質問してくださいね( ´∀`)

皆さんの競技かるたの練習が効率の良いものとなりますように!