【試合中の暗記】試合中特に覚える札は?
競技かるたの選手たちは試合中も絶えず暗記を繰り返しています。
試合前の暗記時間で全ての札の決まり字と場所を正確に覚えたのに、なぜ試合中も暗記をするのか?
それは「試合中に札の決まり字も場所も変わり続けるから」です。
まず、札の決まり字は主に試合中に札が読まれることによって変わっていきます。そして札の場所も送り札はもちろん、同じ陣でも札を動かすことが許されているため、かなり試合中に札の場所は変わります。
そうした、決まり字の変化や場所の変化に確実に対応するため、選手たちは試合中でも休むことなく暗記を続けているのです。
ということで今回は試合中の暗記の基本をご紹介します〜( ・∇・)
試合中の暗記はとても重要!
試合中の暗記の仕方について説明する前に、試合中の暗記がなぜ大切なのかお話させてください。
まず下のグラフをご覧ください↓
(引用:留こみ!)
これは有名なエビングハウスの忘却曲線ですが、このグラフを見るといかに人間の記憶がすぐに薄れてしまうかがわかると思います。
(実際は無意味な文字列を暗記していること、縦軸は覚えているかではなく再び記憶するのに必要な時間の節約度合いを表しているのですが、まあ細かいことはあまり関係ないので割愛します。)
かるたの試合は1試合に少なくとも1時間はかかるので、最初の15分間の暗記の後一切暗記をしなければどんどん忘れてしまい、反応が悪くなっていってしまいます。
1枚目と同じスピードを保つためだけでもある程度は暗記をし続けなければなりません。
そして、冒頭にも書きましたが「決まり字の変化」と「札の移動」が行われるため、試合の後半には序盤と同じ決まり字で同じ場所という札は半数もないというのが実際です。
そのため、常に試合中も暗記しなければならないのです。
試合中の暗記は重要な札にエネルギーを注ぐ!
もちろん場にある札の全てを、毎回暗記することができればいいのですが、実際はそれは難しいです。
下の句が詠まれるまでの時間はかなり長い(数分)のこともありますが、空札の時などはあっという間ですし、特にモメがなければ短い(1分以内)ことも結構あるからです。
そこで、試合中の暗記は1回で全部を覚えるのではなく、何回かに分けて全部を暗記すること、そして特に重要な札にエネルギーを注いで暗記することが必要になります。
では、特に覚えるべき札とはどんな札なのか??
(1)自分が送った札(送り札)
自分が送った札は最も強く暗記をしなければいけない札の1つです。
送り札は嫌いな札を排出するためにするのではなく、好きな札や取りたい札を相手陣に送って攻めるために行うものです。
取るために送っているので、しっかりと暗記をして攻めなければいけません。
よく相手に送ったことを忘れて、元の場所(自陣)を触ってしまうセミダブをしてしまう人がいますが、自分で決めた札が原因で自分がミスをしてしまっているので、反省すべきお手つきです。
(2)相手から送られた札
相手から送られて札も(1)と同様に場所が移動しているので、しっかりと覚えておきましょう。
ただ送られた札は自陣の札なので、そこばかり強く意識しすぎてしまうと守り気味になってしまいます。まずは元の位置を触ってお手つきしない程度に覚えておきましょう。
(3)決まり字が変わった札
札が詠まれることよって、決まり字は変わっていきます。
http://karuta-doujou.com/basic/kimarijihenka/
例えば場に「あきの」があって、「あきか」が詠まれた場合。
もともとは「あきの」で暗記していますし、本来の決まり字は「あきの」なので、どうしても「あき」の2字決まりは他の2字決まりと比べて反応が遅くなりがちです。
逆にいうと、相手が遅い可能性の高い札なので、そこまで無理をしなくてもちゃんと反応をすることさえできれば結構簡単に取れたりします。
こうした拾える札をいかに拾うかが勝ち負けを左右します。
(4)陣の中で移動した札
「札移動します」
と宣言をすれば同じ陣地内でも札を移動させることができます。
これについても場所が変わっているので、比較的暗記をしなければいけない札ではありますが、同じ陣の中での移動なので、元の位置を触ってもお手つきとはなりません。
そのため、送り札による移動ほどは労力を使わなくてもいいのかなというのが個人的な意見です。
試合中に何度も札を移動するタイプの選手もいますが、そうした人は大抵ちゃんと暗記ができていないので、意外と問題にはなりません。
(5)そろそろ出そうな札
これについては完全に感覚の世界なので、なんとも言えませんが、試合をしているとそろそろ出そうだなという札がわかったりします。
そういう札も軽くチェックしておくことで、かなり試合を有利に進められると思います。
それ以外の札の覚え続ける!
もちろん、重要な札だけでなくそれ以外の札も暗記を続けていきます。
例えば、「やまざとは」が詠まれたら、まず同じ「や」で始まる札を確認し、次に「ゆ」で始まる札、「よ」で始まる札を確認するという方法があります。
このような方法だと「さっきどこまで暗記したっけ?」と余計なことを考えなくても、詠まれた直後からすぐに暗記を始めることができるというメリットがあります。
あいうえお順ではなく、むすめふさほせ順でも構いません。
ただ、この方法だと出札の1音目が偏ってしまうと、暗記する札が偏ってしまうというデメリットもあります。
「さっきから同じ札ばっかり暗記しているような…」と思ったら、時々別の札を暗記するようにしてバランスを取るといいでしょう。(でも実際はそれが結構難しい)
試合中の暗記まとめ
まずは重要な札を確実に覚えていきましょう↓
重要な札を覚えることができていれば、それ以外の札も暗記していきましょう。
しかし、試合中にずっと同じように暗記しているとどうしても単調になってしまい、飽きてしまいます。飽きると暗記の質も下がっていってしまうので、時には暗記の仕方を変えることも必要になります。
自分の中で確固たる暗記のパターンをまずは確立し、時にはそれ以外のパターンも行うことで、試合中の暗記の精度はきっと高まるのではないかと思います。